朝鮮学校の排除を狙った自民党の「高校無償化」施行規則省令改訂案に送ったパブリックコメント。

今日が締め切りです。本来なら朝鮮学校に通う児童に対する就学支援金は、「高校無償化」制度の趣旨から見ても、国際的な人権擁護の観点から見ても無条件に支給されるべきものであり、このようなレイシズムをむき出しにした排除の動きに「パブリックコメント」を募るという行為そのものが茶番であることは言うまでもありません(だって「するべきで無い」ことが自明なのだから)。

しかしそれでも、現在の日本の政治がこのような状況になっている以上は、声を上げないわけにもいきません。以下は私が送ったパブリックコメントの内容です。


                   ……………………

国際連合人権理事会の2010年勧告にも明らかなように、朝鮮学校を高校無償化政策から排除することは人道的に許されない差別政策です。
それにも関わらず、下村文科相と安倍政権は朝鮮学校の除外を決め、しかもその理由は「拉致問題が解決されないから」という、教育と政治を露骨に結びつけた、およそ先進国を名乗る国の人権感覚だとは信じ難いレベルのものでした。
普遍的な人権という価値観からも憲法の理念からも逸脱した、このような排外主義的傾向をむき出しにした政治干渉自体が許されないものであることは言うまでもなく、しかもその対象が何の罪もない子供達の学ぶ権利だという事実には、もはやおぞましさしか感じません。
現政権が一刻も早く、このようなレイシズムの発露に他ならない方針を撤回し、高校無償化政策の対象校として朝鮮学校を認定すること、そして一連の差別的な発言を通して、日本社会に朝鮮学校に対する偏見を流布した罪を謝罪することを強く求めます。

                   ……………………

以上です。
言うまでも無いことですが、このパブリックコメント募集の結果如何に関わらず、現政権は高校無償化政策からの朝鮮学校外しを強行しようとするでしょう(10000%そうします)。
このパブリックコメントを通じて安倍政権の差別政策にNoという意思表明をしたその先には、民族教育の権利を守るための長く続く闘いが待ち受けています。

私自身がその闘争に参加することは言うまでもありませんが、同時に一人でも多くの方々からの助けもいただけたらと思います。
ウリハッキョに通う子供達の権利と笑顔を守るために、協力をよろしくお願いします。

いつまで経っても「変わらない」のは誰か ― 北朝鮮の人工衛星発射実験と日本のマスコミ報道について。

 4月13日は結局、北朝鮮人工衛星発射にまつわるニュースに振り回された1日だった。そしてこの国はこんなにいつまでも変わろうとしないで大丈夫かと不安になった1日でもあった。もちろん北朝鮮のことじゃない、日本のことだ。

 この数週間の間、一体どれだけのマスコミが連日ニュースを垂れ流し、何回「人工衛星と称する事実上のミサイル」という珍妙な言葉を連呼したことだろう。僕にとってこの期間のメディアの乱痴気騒ぎは、彼らが自発的かつ積極的に情報統制に荷担したという意味で、報道の自殺にしか見えなかった。

 この期間、日本のマスコミは一回でも「何故、北朝鮮人工衛星が事実上のミサイルと言えるのか」、「何故、彼らが人工衛星を打ち上げてはいけないのか」という疑問について掘り下げて取り扱ったことがあっただろうか。おそらくそんなことは無かっただろう。「北朝鮮だから事実上のミサイルに違いない」し、「安保理決議に違反しているからそんなことは許されないに決まっている」。放送電波と新聞紙をあれだけ埋め尽くしておきながら、彼らが叫んでいたのは小学生だって五分で覚えられそうなこの二つの定型文だけだった。

 確かに安保理決議を無視していいわけもないし、北朝鮮が主張する一般国際法上の権利と安保理決議のどちらが優先するかについて議論するのも大事だろう。だけどそれと同じくらい、「何故、北朝鮮の時だけこんなに大きな騒ぎになるのか」を考えることだって大事なはずだ。そこを考えずに「事実上のミサイルガー」「安保理決議ガー」とオウム返しのように繰り返していたって思考は発展しない。それは朝鮮学校の無償化除外問題を「法律上の整合性」という観点からのみ批判するのと同じくらい薄っぺらい。朝鮮学校に対する差別政策は、普遍的人権という観点から問題視されなくては意味が無いのと同様に、北朝鮮人工衛星発射問題は、半世紀以上に及ぶ冷戦構造という歴史的経緯に対する視点を抜きにして考えることはできない。

 この国は北朝鮮が一回ミサイル発射実験をする度に大騒ぎするけれど、米韓が毎年のように北朝鮮の目の前で行っている大規模な軍事演習には何の関心も払わない。世界最強の大国の、最新鋭の戦闘機や空母が行き交う実戦演習が眼前で展開されるプレッシャーを、自分達に引きつけて考えようとはしない。

 この国は北朝鮮に国際的ルール(それも自分達の都合のいいように解釈した)の遵守を強要するけれども、アメリカが国際的ルールも規範も踏みにじって始めた戦争には諸手を挙げて賛成し、その戦争のキッカケとなった理由が大嘘だったと分かった後も、ただ一言の言い訳すらしようとしない。

 そして自分達が北朝鮮の「横暴」を見つめるように、北朝鮮も自分達の「横暴」をジッと見つめていると言うことを全く自覚しようとしない。「見る側」、「審判する側」は自分達であり、「見られる側」、「審判される側」は北朝鮮だと当たり前のように思っている。息をするように自然に、そう信じている。

 そもそも日本のマスコミは一回だって、「北朝鮮人工衛星を欲しがるとしたらそれは何故か」という問いをたてたことがあるだろうか。仮にあるとしても、「国威発揚のため」とかいう簡単極まりないレッテルを貼るだけで、それ以上のことは考えようともしないだろう。別にそのレッテルが完全に間違っているというつもりはない。国威発揚という側面、大いにあるだろう。ただしそれと同じくらい切実に、自前の気象衛星を持つことで天気予報に役立てたいとも思っているはずだ。そうすれば他国から高い衛星写真や天候データを買わなくて済む。自前の気象衛星を持てば、災害対策や農業の発展にだって役立つ。普段あれだけ北朝鮮の深刻な食糧事情や農業の不作について取り上げているわりに、日本のマスコミの皆さんはこういう時にはそこら辺の事情が全く目に入らなくなるらしい。

 確かに費用対効果という問題はある。はたして「今」、莫大な費用を投じてまで人工衛星の開発に注力する必要があるのかという指摘は出てきて当然だろう。しかし僕達は、その費用対効果について正確に判断できるほどの知識を持っているだろうか。そして日本のマスコミは、そういった費用対効果を判断するだけの情報を伝えようと努力してきただろうか。北朝鮮をお昼のバラエティ番組のネタ提供媒体以上のものとして、自分達と地理的にも歴史的にも関係の深い隣国として、真剣にその実像を捉えようとしてきただろうか。

 僕にはそうは思えない。軍事パレードを映し続けること、指導者の姿だけをクローズアップし続けること、最近だと発展する平壌の街並みを撮影し、「首都には無理やりな集中投資しているようだが地方は悲惨」という定型文だけを繰り返し続けることが北朝鮮の実像を伝える報道だとは思えない。それらは確かに一面の真実ではあるけれど、北朝鮮の全てでは無い。軍事パレードに出てる軍人は普段何をしているのか?指導者の下で働く人達はどんな情報をトップに上げているのか?具体的にどこの地方がどれくらい、どう悲惨で、何でそのような状態にあるのか?

 こう言うと必ず次のような反論が帰ってくるはずだ。「そういう突っ込んだところまで取材できないのは、北朝鮮が極度の閉鎖国家だからだ」。成る程その通りだ。そしてそういう時こそジャーナリストの腕が鳴るってもんじゃないのか。本丸が固いなら外堀から攻めていく手はいくつだってあるだろう。北朝鮮の経済戦略について知りたいなら、なぜ韓国の北朝鮮研究の現状をフォローしようとしないのか。対外経済関係について知りたいなら、なぜオラスコムの会長にインタビューしようとしないのか。北朝鮮の食糧事情について知りたいなら、なぜ文浩一の研究を参照しないのか(それも日本で出版されてるのに!)。

 そういうアプローチは遠回りかもしれない。センセーショナルで無いかもしれない。視聴率が取れないかもしれない。だけど北朝鮮の実像を知りたいと思うなら有益な情報だろう。日本全国あらゆるチャンネルで十年一日みたいに代わり映えしない報道を流す暇があるなら、それくらい試してもいいだろうに。

 だけど日本のマスコミは決してそうしようとはしない。毎日毎日同じ鉄板の上で焼いたような同じ型の「北朝鮮報道」を洪水のように流し続け、たまに今回みたいな耳目を引くニュースが出ると一斉にこうだ。「いやー、あの国はホント相変わらずですね!」。

 相変わらずなのは君達の方だと言いたい気持ちをグッと我慢して、それでは北朝鮮が本当に「相変わらず」なのかどうか、ちょっとだけ検討してみよう。1998年の光明星1号、これは事前予告も何も無しにいきなり発射した後の完全な事後通達だった。2009年の光明星2号、これは宇宙条約に加盟した上で事前に人工衛星の打ち上げと主張し、宇宙の平和利用の権利を国際社会に訴えた。そして2012年、今回の「銀河三号」に載せた光明星3号の発射実験では、海外の専門家とメディアを招待するにいたる。

 この一連の流れは、一つの明らかな事実を示している。北朝鮮が国際社会の視線を意識して、自らをそこに適応させようと努力しているという事実だ(そう言えばベルヌ条約にも加盟して、国際法に則って自らの著作権も主張していたね。まあどこかの国は恥知らずにも最高裁でその訴えを踏みにじったけど)。

 しかし日本のマスコミの目にそうした一連の流れは随分歪んだものとして映し出されるらしく、宇宙条約への加盟も海外メディアや専門化の招待も、「ミサイル発射の隠れ蓑」、「批判逃れの言い訳作り」としか写らないらしい。成る程ね、北朝鮮はたかが「言い訳作り」のために機密漏洩や失敗した時にかく赤っ恥まで覚悟して人工衛星の発射実験の様子を公開するわけだ。それはまた随分とオープンな閉鎖国家だ。まあ実際のところ、赤っ恥をかく可能性をトップがどれだけ真剣に考えていたかどうかは分からないけれど。

 それでも一つ確かなことは、北朝鮮が自分達の人工衛星の発射実験を海外メディアに公開し、見事な赤っ恥をかき、(引っ込みがつかなくなったのかどうか知らないが)その失敗を公に認めたと言うことだ。僕にはそのこと自体が大した変化に思えるけれど、日本のメディアはそれを「国威失墜」、「体制への打撃」としか書かない。北朝鮮が国際社会に自分達を受け入れさせようと努力している姿だとは絶対に書かない。

 それが一番最初に言った、この国の絶望的な「変わらなさ」だ。自分達が「見たい」北朝鮮の姿以外を決して見ようとしない頑なさだ。もっとも厳密には、この国の政府とマスメディアが、と言うべきだろう。この国に暮らす人達は、10年以上もこんな茶番劇に騙されるほど馬鹿じゃない。

 それは今回、ツイッター上のごくごくごくごくごく一部で流行った #主体宇宙軍 というタグが示している。そのタグの周りで盛り上がっていた宇宙クラスタの人達は、別に北朝鮮に近しい人物でもなければ専門家でもない、普段は「北朝鮮ってひどい国だなあ」と思っているだろう人達だ。それでもこの数週間、この国の政府とマスコミが繰り広げ続けた馬鹿騒ぎに乗っかったりはしない。「人工衛星と称する事実上のミサイル」とかいう呼称の珍妙さを醒めた目で見ている。そして北朝鮮人工衛星が本物なのかどうか、自分達の培った知識に基づいて考えている。別に宇宙クラスタでなくたって、そういう冷静な思考を持った人達はこの国に大勢いるだろう。別に北朝鮮の味方でも何でもない、だけど自分達の目にヴェールをかけ、変な方向に引っ張っていこうとする動きを見抜く目を持った人達が、この国には実に大勢いるだろう。

 だから今、この国で北朝鮮に関する情報を提供する独占権を握っている人達は、その権利を濫用する前に、自分達に向けられている視線を少しは気にした方がいいと思う。いつか歴史からその「変わらなさ」を審判されるのは、自分達かも知れないのだから。

2011年の都知事選に思うこと。

気づけばいつのまにか明日が都知事選ですね。さっきツイッターで呟いたことをまとめただけだけど、ちょっとだけ思うところを書いておこうか。

まあ俺には選挙権が無いのでこんなところで呟くことくらいしか出来ないけど、自らの意思を表明する権利のある都民の皆様には、やっぱり信念を持って投票してほしいと思うわけです。

なんつーかね、当選の可能性とか死票とか石原を引きずり下ろすための候補とか、色々と考えることはあるだろうし、そういうのも大事だとは思うけど、その上で最後の最後は、「自らの思うところ」にしたがって投票するのがいいと思うんだよね。

その結果があるいは死票になるかもしれないし、それをもって「ホレ見たことか」なんてつまんねーこと言ってくる奴もいるかもしれないけど、そんなのはあんまり気にすること無いんだよ。だって民主主義って「自分の意思」を表明するのがいいところなわけじゃん。

だからやっぱり、最後の最後にホントの本気で一番大事なのは、「自分が『この人だ』と思った候補」に投票することだと思うよ。それは「死票」なんてくだらねーレッテル貼られるかも知れないけど、全然そんなこと無いんだよ。だってその票を投じたあなたの「意思」は、死んだりなんかしないんだから。

とゆーわけで、選挙権が無い身ながらも、明日の都知事選の結果を楽しみに待ちたいと思います。都民の意思が一つの形となった結果をこの目で見た上で、そして更にその先へと歩き出すために。


※関連リンク

米粒があたかも人間であるかのように――小池晃都知事選出馬への支持表明
http://d.hatena.ne.jp/hokusyu/20110310/p1

徹底的な「他者」へのまなざし−朝鮮学校への無償化適用を巡る顛末に思う。

 朝鮮学校無償化適用の流れは何とか筋道がついたと思ってよさそうな感じになってきたんだけど、それにしても今回の一連の経緯を通して浮き彫りになった問題は深刻かつ重大だと思う(産経が撒き散らすヘイトクライムなんかその問題の一部でしかない)。まだ雑駁なまとめにしか過ぎないけど、取りあえず今まで色々と考えてきたことを書いておきたい。


 この点については散々書いてきたことでもあるけど、そもそも今回の法案の趣旨を考えれば、朝鮮学校を適用対象に入れるのは当然すぎるくらい当然の流れであって、そこにイチャモンつけてきた中井なんか、本来なら相手にもされずに門前払いで終わりのはずだった。ただその時の総理が鳩山というのは運が悪かっただろう。それこそ中井が馬鹿なことを言ってきた時点で内々に一喝しておけば、ここまで問題がこじれることもなかったろうに、あの八方美人な宇宙鳩がなまじっか公共の電波で「一定の理解を示す」なんてことをのたまったばかりに、一気に反対派が勢いづきやがった。まあ産経あたりは中井の発言関係なく何かしら文句を付けてきただろうが、それにしてもあの鳩山の日和り具合がなかったら、橋下の糞は意外と静かにしてたんじゃないかと思う(ヤツも周りを見て物を言うからな)。その意味でもこの無償化適用を巡るゴタゴタに関して鳩山の責任は重い。


 けれどもっと重い責任を指摘されるべきなのは、言うまでもなく朝日・読売・毎日をはじめとする「本物の」全国紙だ(産経とか所詮全国紙まがいですから)。あいつらの論調は軒並み糞でしかなかった。もちろん朝日も読売も毎日も、当初から「原則として」無償化の適用に賛成という立場を取っていた。


 その無償化適用に「原則賛成」というロジックこそが糞だった。どいつもこいつも朝鮮学校の教育や政治的立ち位置に(それこそ産経と変わらないレベルの)罵倒を散々投げつけた上で、「まあ教育の権利という点から言えば、朝鮮学校も無償化するのが筋であろう」と恩着せがましく付け加える社説の数々。実にクソ極まりない。朝毎読(ついでに日経)のどれ一つとして、朝鮮学校への無償化適用が法案の趣旨からも当然であれば「国際条約に照らしても」適用されるべきであることを正面切って論じなかった。今思い出しても反吐が出る。


 確認しておきたいが、これら全国紙の中でただの一つでも「そもそも朝鮮学校を無償化から除外するという論理こそが常識外れのあり得ない差別なんだよ」ということを堂々と言ったか?否だ、もちろん否だ。最低でも朝日と毎日は(連中がリベラルという面の皮を被るなら)信濃毎日新聞の社説(http://bit.ly/bCEwea)くらいのことは即座に表明するべきだった。中井の妄言が報道された瞬間に、朝日と毎日はその程度の正論は言うべきだったし、その上で朝鮮学校側は、「私たちはこれまで日本社会に自分たちを知ってもらうための努力をたくさんしてきています」と返す。最低でもそこら辺がスタートラインになるべきだった。


 だけど現実はそのスタートラインのはるか斜め下だった。朝日も毎日も朝鮮学校が高校水準の教育課程を満たしている事も、無償化適用が当然だという筋道にも殆ど触れず、「朝鮮学校反日的教育は問題だ」、「独裁体制との癒着という疑惑に対してオープンになる必要がある」だとよ。どこの産経脳だマジで。


 繰り返しになるが確認しておきたい。朝日も読売も毎日も、「朝鮮学校が高校に類する教育課程を満たしている」ことにも、「法案の趣旨から無償化が適用されるのが当然だ」ということにも、「無償化除外が国際人権条約違反の明白な差別であることが国際機関から指摘されている」ことにも殆ど触れなかったこと。これは重要だ。実に重要だ。


 全国紙が軒並み法案の趣旨から見た朝鮮学校の位置づけや、国際人権条約といった論点をスルーしたことは、とりもなおさず「日本人である自分たち」が「朝鮮学校に対して」無償化を適用しなければならない「責任」から目を逸らしたことを意味している。こういう態度が産経の撒き散らすレイシズム丸出しの記事と実に巧妙な連係プレーを取っていることは指摘するまでもない。表面上は違うことを言っているようでいながら、朝毎読と産経はスペインのパスサッカー並みに鮮やかな共同歩調で朝鮮学校に対する差別感情を蔓延させるような記事を書き立てた。実際その連携は胸糞が悪くなるほどに見事だ。産経が社説と一面を丸ごと使って朝鮮学校に対するヘイトを撒き散らす。すると朝毎読が実に恩着せがましい口ぶりでこうだ。「まあまあ大人になれよ、朝鮮人の態度は確かに問題だが、ここはこっちが日本人の度量を見せていっちょ仲間に入れてやろうぜ」そして最後にこう付け加える。「だけど朝鮮人もあんまり調子に乗っちゃいけないぜ。俺たちだっていつも優しいわけじゃないんだから、きっちり尻尾振ってご機嫌取るよう心がけろよ、(連中の脳内にしかない)『反日教育』はちゃんと見てるぞ」ってな。実に有難いお言葉だぜファック野郎。各紙の記者が夜中に仲良く編集会議を開いてるとしか思えないこの仲良しこよしの交換社説の中に「日本人側の責任や能動性」を求める声はない。カケラもない。何度でも繰り返す。ただの一欠片だって自分たちの醜悪な差別性を見つめる視線はありゃしない。


 民主党政権が即時適用以外の方法がない朝鮮学校の授業料無償化を、へっぴり腰と差別に対する鈍感さと事なかれ主義を盾に延々と引き伸ばしている間、全国の主要マスコミが取った態度がこれだった。そして11月に入ってから(これ自体が信じがたい)、やっとで無償化を適用する方向性がある程度明確な形で出てきた。すると早速産経がレイシズム丸出しのヘイトな社説を掲載した(http://bit.ly/b9sMHs)。そこに毎日がすかさず合いの手だ(http://bit.ly/924oCi)。タイトルからして素晴らしい。「開かれた教育へ脱皮を」だってよ。ケツ蹴っ飛ばすぞクソ野郎が。


 これが結論だ。これが2010年の日本のマスコミが示した結論だ。「可哀想だから朝鮮人も仲間に入れてやろうぜ。まあ連中があんまりオイタしないっていう前提でだけどな」。もう新世紀に入って10年が経ってるのにこれ。素晴らしすぎるユートピアの風景に目が回りそうだ。もちろん日本社会の全員がそうだなんて言いたいわけじゃない。今回も本当にたくさんの人達が力を貸してくれたことは忘れてない。


 だけどもし今回の無償化適用の流れを「運動で勝ち取った権利」と言うなら、それはあまりにもおぞましい勝利じゃないだろうか。だってもし負けてた場合、日本政府は在特会並みの脳味噌でないと出てこないようなレイシズム丸出しの根拠に基づいた差別政策を実行してたかもしれないんだぜ。もちろん、民主党政権が本気で朝鮮学校を無償化から除外しようとしていたかどうかは微妙な点もあると思う。少なくとも「政局」を見た日和見主義の判断が問題をここまで迷走させたという側面はある(まあこのイシューが「政局」になること自体が大問題だが)。そして産経が恨みがましく言うように、「結局のところ民主党政権朝鮮学校への無償化適用ありきの流れで動いていた」というのは本当かも知れない。まあそもそも論の繰り返しになるけど、無償化法案の中身と日本の法律と(産経脳には見えない)国際的常識に照らしてみたらそれ以外にやりようがないんだがね!!


 仮にそうだとしてみよう。民主党政権は自分たちが通した法案の性格上、無償化対象に朝鮮学校を入れざるを得ないのを分かっていて、ただ政局怖さにそれを延々と後回しにしていたと仮定してみよう。まさにそんな先延ばしをしたということが、しかもそれが許されたと言うことが問題の深刻さを物語っている。つまり朝鮮学校というのは「連中」にとってそういう存在なわけだ。ちょっとばかりの面倒を避けるために差別しても構わない存在なわけだ。そしてうるさく騒ぎ立てて来た上に、自分たちのルール上でも少々辻褄が合わなくなったら不承不承差別的な取り扱いを考え直す、その程度の存在なわけだ。繰り返しになるけれど、もう新世紀に入ってから10年が経ってるんだぜ。なのに連中は未だにその程度の認識しか持っていない。それでも朝鮮学校とその周りにいる在日コリアンは、自分たちを道端のいつでも踏みつぶせる蟻程度にしか見ていない権力に対して、あらゆるリソースを動員して異議申し立てをしていかなくてはいけない。


 果てしない徒労感で目の前が真っ暗になりそうなところに今度は有難い大マスコミ様の追い打ちだ。「まあ俺たちも体面あるしー、ちょっと可哀想だとは思うからペン先の端っこで同情するくらいはいいけどさ、お前らもあんま調子のんなよ。産経の言うことだって一理あるかもしれないぞ」と有難い忠告をのたまわってくれるわけだ。


 「自分たちの問題」として考える姿勢を全く見せず、ただ全てを「在日側の問題」としてだけ語るマスコミと、それを許すこの社会の空気。必然的にこの根強い差別的状況に対する「日本人側」の責任は免罪されて、「在日側」に向けられる視線だけが厳しくなっていく。それを示したのが産経・FNNの合同調査だろう。朝鮮学校への無償化適用に対して、回答者の実に60%が「望ましくない」という見解を示した。ヘイホー、実に素晴らしい「人権を大事にする先進国の日本」だね。もう何も言えないよ。


 結局の所、今回の無償化を巡る運動で在日側が「勝ち取った」ものは何だったんだろうか。ネガティブな言い方になるけれど、それは果てしない徒労感だったと思う。対して日本のマスコミは自分たちの「寛大さ」とそれを許す「過半数の世論」を手に入れて、権力はただ厄介事を振り払うようなぞんざいな措置しか執らなかった。実に大した「勝利」だよ。産経脳な皆さんは歯噛みする必要はないぜ。お前らが対価に貰ったものの方が今後よっぽど使い出がある。


 それでも「こっち側」としては、これが2010年の素敵でハッピーで楽園みたいで「住まわせてもらってるだけで有難い」日本の現状だと受け入れて、改めて疲れ切った足腰を立たせなきゃいけないわけだ。もう祖父母の時代から半世紀以上もずっと走り続けているんだけど。


 それでもゴールラインがどこにあるのかは分からない。前進してるんだか後退してるんだかも分からない。だけどそれでも構わない。状況がネガティブなのは分かってる。だからって止まって下向いてるわけにもいかない。そんなことしてりゃボコボコにされるだけだ。あっち側も大概だがこっちだって粘り強さじゃ負けない。泣いても笑っても死なない限りは明日がまた来るわけで、そうである以上は歩き続ける。


※この問題についてはこちらの記事も参照されたい。

−「東京新聞の腹立たしい社説」(http://d.hatena.ne.jp/Arisan/20101023/p1
−「毎日新聞の腹立たしい社説」(http://d.hatena.ne.jp/bogus-simotukare/20101107/2354167098

日本人に限らない。

何かと言えば、id:iteau氏の以下の記事なのだけど。

http://d.hatena.ne.jp/iteau/20100417/p1

別に他国に対して自国の権力者を悪し様に言うのは、日本人に限ったことではないと思う。
実際、アメリカ人はブッシュが再選されたとき、世界中にSorry Everybodyなんて発信してるわけだしさ(http://www.sorryeverybody.com/gallery/1/)。
だからこの点に関しては、id:gingin1234氏の言うことが正しいんじゃないかな(あくまでこの点についてだけはね。gingin氏も俺に賛成されたところで嬉しくもないだろうが)。




自分の国のトップに反対するとき、その意見を大っぴらに外に発信するのは自由だし、それが単なる悪口であってもかまわないと思う。政権関係者の場合はまた話が別かもとは思うけど、岡田外相なんかは当時野党の代表なわけで、小泉元首相を批判することはそこまで責められることでもないだろう。

だから別に、日本が「幼稚なシーソーゲーム」から抜け出す必要はない。ワシントンポストのコラムが不愉快なら、そういう話とは別の次元で批判すればいいと思う(正直俺も、あのコラムの言い方は気にくわない)。

だから、ワシントンポストのコラムや、小泉を批判する中国に喝采を送る人たちを、iteau氏が言うような理由で批判することは適当でないと思うし、それが「幼稚なシーソーゲーム」でもないと思う。
ワシントンポストのコラムが不愉快だというのは、確かに俺も共感するけど。




※追記。
今回のiteau氏の記事は、やや性急に書かれた感じがあり、他にもいくつか疑問点がある。最たるものが吉野家への言及。アメリカに軽々しく扱われたからと言って、一民間企業に牛肉を買うなと注文をつけることは出来ないだろう。それとレーガン国葬には元首相の中曽根が行ったのでは?と思ったが、今コメント欄を確認したところ、レーガンの葬儀はその規模とタイミングという点で特別な事情があったと見なしているようで、そちらの意見には説得された。


※さらに追記。
論旨展開に変な部分があったので削除・訂正した(棒線部)。

高校無償化法案からの朝鮮学校除外問題について

 ※すでにいくつも秀逸なまとめ・状況解説が出ているのだけど、一応俺自身の考えを整理する意味で書いておく。とりあえず殴り書きに近いメモなので、後で色々と修正・加筆したい。
 ※法案が可決した現時点で、「第3者機関の設置」という新しい局面が報道されているが、詳細が分からないので、後日改めて考える。以下本文。


 高校無償化法案から朝鮮学校を除外しようとする動きのポイントは、以下の4つにまとめられると思う。

 ポイント①:法案の対象。
 ポイント②:朝鮮学校を除外しようとする流れはどこから生まれたか。
 ポイント③:朝鮮学校を除外しようとする根拠の不当性
 ポイント④:どのように対処するべきか。



 −ポイント①
 ⇒ざっくり言うと、この法案の対象には一条校だけではなく、各種学校も含まれる。よって、本来ならば当然に朝鮮学校も対象になる。この点をまず押さえておくべき。



 −ポイント②
 ⇒朝鮮学校を除外しようとする流れは、根っこのところでつながっている。
 ⇒メディアとしては産経新聞が、「教育援助費」を持ち出して言いがかりをつけたのを皮切りに、狂ったような反朝鮮学校キャンペーンを繰り広げている。ただし、これは産経新聞「だけの」キャンペーン、朝日・読売・毎日は無償化対象除外に反対の立場で一致。地方紙でも除外に反対を唱える声が大きい。
 ⇒問題は、閣内から除外を求める声が飛び出したこと。言い出しっぺは中井拉致担当相。拉致問題朝鮮学校を結びつけた呆れるような言いぐさで除外しろと公言した。普通ならこんな発言は首が切られるレベルの失言であり、川端文科相は一歩距離を置く姿勢を見せたが、よりによって鳩山首相が中井の発言に一定の理解を表明。朝鮮学校が除外されようとする流れが、一気に現実味を帯びた。
 ⇒朝鮮学校を排除しようとする動きは、政界の中にも根強い。国会審議では自民党下村博文が、執拗に朝鮮学校の「反日教育」を追求し、自民党自体が党として、除外を求める決議を採択。また、大阪の橋下「府知事」が、「北朝鮮は不法国家。朝鮮総連暴力団。そんな組織と朝鮮学校がつながりを持っているなら、無償化など論外。僕が子供達を取り戻す」などという、植民地主義根性ここに極まれりといった暴言を連日のように吐いているが、こいつが大阪で支持率絶大という・・・・・・、日本オワタな状況。
 ⇒最悪なことに、世論はこうした露骨に差別的な除外の動きに一定の理解を示している。JNN世論調査では、半数以上が朝鮮学校の除外に賛成だった。日本社会に根付く反朝鮮感情が、高校無償化法案から朝鮮学校を排除しようとする動きの土壌としてある。



 −ポイント③
 ⇒まず大前提として言っておくが、子供の教育は憲法で定められた権利であり、ここから朝鮮学校を除外することは、その精神に違反する。
 ⇒さらに国際人権規約委員会からも、民族教育を日本が保護するよう求める勧告が、10年以上前から出ているにも関わらず、日本政府はこれをずーっと無視してきた。その上にこの動きである。さらに国際人権規約委員会からも、民族教育を日本が保護するよう求める勧告が、10年以上前から出ているにも関わらず、日本政府はこれをずーっと無視してきた。その上にこの動きである。また現在、日本は人種差別撤廃委員会の審査を受けている最中であり、委員からはこの問題に関して、朝鮮学校を除外することに関する懸念が表明された。
 ⇒このように、国内法から見ても国際法から見ても、日本は朝鮮学校の民族教育を認め、保護する義務があるにも関わらず、現実には全く正反対の方向に動いている。
 ⇒ちなみに日本政府はこのような民族差別を正当化する根拠として、朝鮮学校が「日本の高校レベルの教育課程に類する教育を行っているかどうかが分からない」という噴飯ものの屁理屈を持ち出しているが、日本中の殆どの大学が朝鮮学校卒業生の受験資格を認め、朝鮮学校自体が教育課程を公表している状況で、このような理屈づけが正に「屁」にも値しないレベルの良いわけであることは明らか。すでに日弁連はこのような主張の無根拠さと不当性を勧告しているのだが、全く問題にしようとしていない。
 ⇒まとめるならば、朝鮮学校の民族教育は、憲法から見ても、国際法から見ても、教育レベルから見ても、明らかに日本の高校と同水準の教育として認められるべきであり、よって高校無償化法案の対象にならないということの方が異常である。日本政府が文科省の「省令」で何とか朝鮮学校を除外しようとするにしても、その根拠は成立しようがない。



 −ポイント④ 
 ⇒にも関わらず、現時点で状況は厳しいと言わざるを得ない。法案は今日可決したが、朝鮮学校を対象に入れるかどうかは確定しておらず、制度が実施される4月以降に決定が行われる見通し。
 ⇒川端は、対象にするかどうかを判断する基準の一つとして、「学校を卒業した後に大学の受験資格が認められるかどうかが(基準として)考えられる」と発言。実は現時点で、朝鮮学校の大学受験資格のみが「弾力化」という名目の下、正式に認められていない状況で、この発言は朝鮮学校の除外を示唆したものと見ることが出来る。
 ⇒新聞報道では、朝日が今日の一面で「内閣が除外の方針を固めた」と報道。ただし産経はその一日前の記事で、「朝鮮学校、一転、無償化適用へ」と報じた。今回ばかりは産経の報道を信じたい思いだが(笑)、残念ながら朝日の方に信憑性がありそうだ(追記:やはり朝日の方が正しかった模様)。希望的観測として敢えて言うなら、未だ正式な決定はされていない、と考えることは出来るかもしれない。
 ⇒好材料としては、連立を組んでいる社民党国民新党朝鮮学校の除外に反対の方針で一致していることがある(公明党も同じ方針を打ち出している)。国会議員の朝鮮学校視察はすでに実現しており、少しずつ除外に反対する声も広まっている。状況は予断を許さないが、希望が消えたわけではない。今後の展開を注視しつつ、しっかりと声を上げていくことが大事だと思う。

駄目だコイツ・・・・・、はやく何とかしないと。−朝鮮学校に対する橋下のクソな発言。

かの夜神月の名台詞を安直にパクったタイトルで日記を始める俺の脳味噌プライスレス。

なんていう、マキシマムザホルモンもびっくりな頭悪い書き出しで始まるのもなんだが、最近もう、ためこむだけで脳味噌が沸騰しそうなニュースが多いんすよ・・・・・。

そんな中で、今朝の選りすぐりなとびっきり沸騰ものニュースはこれ。


朝日新聞:「肖像画・資金の流れ確認 橋下知事朝鮮学校視察で方針」
http://www.asahi.com/kansai/sumai/news/OSK201003100057.html



まあ例によって橋下府知事の発言なんですがね。もういちいち突っ込む気も起きないくらい糞発言のオンパレードなんだけど、その中でどうしても許せないのをあえて一つ選ぶとしたらコイツだね。

>「不法な国家体制とつきあいがあるなら、僕は子どもたちを取り戻し、ちゃんと正常な学校で学ばせる。そうしないと朝鮮の皆さんに対する根深い差別意識大阪府からなくならない」


・・・あー、まあ、一言で言うと。



ふざけんなこの糞が。


と、言いたい。テメーみたいな糞野郎に子供を「取り戻される」筋合いなんかこれっぽっちもありゃしねーんだよ。「正常な学校」ってのも噴飯ものだ。こいつ本気で弁護士か?あ、今は違うか。だとしても自分が元いた業界から出てる勧告くらい読んどけ糞が。最後の一文もまたムカツク。
俺はこういう、てめーの差別根性を上っ面の美辞麗句で塗りつぶす言い方が腹の底から許せねー。そういう性根がいちばんゲスだ。気にくわねーなら堂々とケンカ売ってこいっつーの。

つーかコイツの物言いって、まんま植民地主義者の言い分そのものだよな。てめーみたいな根性の奴らが押しつけてきた教育がクソきわまりなかったから、こっちゃ苦労して民族教育を始めて、それを守り抜いてきたんだっつーの。最後に一言言うなら、




テメーが通わせようとする学校だきゃ願い下げだ。


※追記。1

つーかねホント、都知事石原・府知事橋下って、ホントもう勘弁してくれよヤベーマジで在特会のお勧めにしたがって日本脱出して移住すっかって感じな罰ゲームなんですが。え、そんなグチは誰も聞いていない?まーいいや。


※追記。2

ところで俺はマキシマムザホルモンの大・ファンですので誤解なきように。あいつらの歌詞は本気で頭悪いって言うか脳味噌の言語中枢が破壊されてなきゃ出てこない歌詞なんだけど、それって褒め言葉ですから!!!ホルモン超サイコー!!!ランニングしながら「ぶっ生き返す!!」⇒「糞ブレイキン脳ブレイキン・リリィ」⇒「ビキニ・スポーツ・ポンチン」⇒「恋のメガラバ」リピートとか、もうタイトルの時点で頭狂ってる馬鹿ロックエンドレスリピートで走りまくるのサイコー!!!マジにドバドバ脳汁アドレナリンドバドバ蛇口全開で突っ走れるぜ!!!ヤベー俺も頭悪い!!!!ゲッチュウッ!!!!





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